こんにちは、ハイタレント広報です。
「起業したら、人生で初めて幸せを感じたんです。」
そう語ったのは、株式会社エス・エム・エス創業者で現REAPRA グループCEOの諸藤周平氏です。
2026年7月13日(月)、REAPRAとの共催オンラインセミナー「コンサルタントの次の一手を考える『プロフェッショナルを極めるか、事業家になるか』」を開催し、コンサル出身者を中心に約50名にご参加いただきました。聞き手はハイタレント代表・有吉洋平、ファシリテーターは取締役・真貝豪が務めました。
普段はあまり語られない本音を、諸藤氏は1.5時間、あけすけに話してくれました。その一部をご紹介します。

「戦略が得意」なだけでは、もう選ばれない
コンサル出身者はこれからどう生存戦略を描けばいいと思うかと、聞き手が問いかけると、諸藤氏は率直にこう答えました。
「戦略が得意なので経営者の横につきます、という生き方は、相当コモディティ化していると思う。」
これは、答えのある問いを効率的に解く力によって選ばれ、評価されてきたコンサル出身者にとって、その前提そのものが揺らいでいるという指摘です。
8歳までは、ただ楽しかった
諸藤氏自身も、かつては「何かに秀でて評価されなければ、居場所を失う」という前提に縛られていた一人でした。話は、冒頭の「幸せ」の裏にある、もっと長い時間軸の物語にさかのぼります。
「8歳まではむっちゃ楽しく生きていて、不満もなく安心もあり、冒険も自由にやっていました。」
ところが、成長するにつれて風向きが変わります。学校の成績が思うように出ず、このままでは将来の選択肢が狭まってしまうと心配した母親から、優しく諭されたといいます。諸藤氏はこう振り返ります。
「自分だけ将来、望むような道に進めなくなってしまうのではないか。日々は楽しいのに、将来が怖いという感覚がありました。」
社会から弾き出されてしまうという恐怖は、その後も消えませんでした。大学まではなんとか進学し、サラリーマンとして安泰に過ごすつもりだったといいます。しかし、大企業ですら倒産する時代を目の当たりにし、諸藤氏はこう思うようになりました。
「働いていても逃げ切れないと思ったし、そこで頑張るという発想もなかったので、やけくそになって起業しました。目的は、サラリーマンとして安泰でいるための生涯年収3億円を手にすることでした。」
後に東証一部上場を果たし、売上718億円にまで育つあのエス・エム・エスも、始まりはこの、自己破産を覚悟した、なかば追い込まれてのスタートでした。
「起業したら人生で初めて幸せを感じたんです。八歳までの感覚に戻った、に近いのですが、そのとき、自分にも幸せになる権利があると感じました。それが不思議なことに、売り上げも立っていないし、たぶん自己破産するだけだろうという状況だったのに、幸せだと感じました。」
当初の目的だった生涯年収3億円は、起業から1年ほどであっけなく達成されてしまったといいます。それでも諸藤氏をとらえ続けたのは、お金ではなく、事業そのものの面白さでした——普段は語られることの少ない、率直な告白でした。

スパッと辞めたように見えて、実は未練だらけだった
事業そのものの面白さにとらえられた先で、エス・エム・エスは大きく成長を続けます。そして35歳、その絶頂期に、諸藤氏は経営から退く決断をしました。あっさり次に進んだのだろう——そう思われがちですが、実際は、その真逆でした。
「エス・エム・エスなら、まだ伸びると思っているのに。会社のためだと思ってやめたけれど、本当は残りたいという気持ちもありました。」
後任への引き継ぎのときには、ある申し出を自分から持ちかけてみたこともあったといいます。
「新しい後任に引き継ぐときも、海外の役員として一応残っておきましょうか、と。頼まれてもいないのに自分から言って、バッサリ断られました。」
そもそも「35歳で辞める」と決めていたのは、起業からわずか1年後のことでした。その理由には、諸藤氏なりの強い危機感がありました。
「自分みたいに何も取り柄のない人間が起業してうまくいくと、水を得た魚のように勘違いして、本を書いて『俺はすごい経営者だ』とやり出すんだろうな、と。将来不安のある自分は、そういう壮大なピエロにだけは絶対になりたくないと思いました。早くに辞めれば、また次の人生が開けるのではないかと思い、起業して一年後くらいに、35歳で辞めると決めました。最後は後ろ髪を引かれましたが、思い切って辞めてみて、忘れられるという意味でアジアに渡りました。」
成功に居座らず、ゼロからやり直す道を選んだ結果が、現在のREAPRAにつながっています。
1.5時間には、まだこんな話がありました
この記事でご紹介したのは、1.5時間におよぶセミナーのごく一部です。当日はこのほかにも、「自分は無宗教だと思っていたが、実は『株式会社』を宗教のように信じていた」という気づき、他者との比較にずっと苦しんできたという意外な一面、パッションの語源はトラウマだという話、「自分らしさ」はなぜ自分では掘れないのか、といった話が語られました。
こんな人におすすめ
諸藤氏は、この自己理解のプロセスを、誰にでも勧めているわけではありません。次のような方には、今回のセミナーがきっと役に立ちます。
- コンサルやハイキャリアという働き方に、なんとなく違和感を感じて立ち止まることがある
- 自分自身をある程度客観的に見られている(メタ認知がある)
- 悩んだときに、考えるより先に行動してしまう傾向がある
- 精神的・経済的に、いざとなれば自分で稼げるという自立がある
参加者の声
多様な論点が飛び交った一日でした。参加者からはこんな声が届いています。
・「諸藤さんほどの人でも他者との比較に嫌気がさしていたということが驚きでした。」
・「35歳でエス・エム・エスを退任されたことを当時は衝撃的に見ていましたが、今回、その決断の背景にあった葛藤やシンガポールへ向かわれた経緯を伺うことができ、非常に興味深かったです。」
・「自分のやりたいと思う方への転職を最近重ねていますが、はっきりした軸を見出したいので1on1セッションを希望したいと思います。」
・「内容が深かったので、アーカイブ配信を再度視聴しようと思います。」
アーカイブ視聴・1on1相談のご案内
ここまでご紹介した内容も、当日語られたことのごく一部にすぎません。全容は、アーカイブでご覧いただけます。
セミナー終了後のアンケートでは、REAPRAとの1on1セッション、またはハイタレント代表・有吉との1on1のいずれかを希望する方を募る仕組みも用意されました。
今の働き方に、なんとなく違和感があるという段階でも参加できるとのことです。ご興味のある方は、アーカイブ視聴時にご案内するフォームからお申し込みください。
ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
『HiTalent(ハイタレント)』は、戦略コンサルティングファームや投資銀行の出身者を中心に、審査を通過したプロフェッショナルが登録するハイクラスフリーランスのコミュニティです。「優秀な個の選択肢と可能性を広げ、人類の進化に貢献する」をMissionに掲げ、上流の案件をご紹介するだけでなく、今回のようなセミナーを通じて、キャリアの次の一手を考える材料をお届けしています。

