建設機械メーカーとして知られる日立建機は今、新事業創生ユニット内に「LANDCROS Innovation Studios」という組織を持っています。スタートアップとの協業を通じて新しい事業を生み出す、いわば社内のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC、事業会社が自己資金でスタートアップに出資・連携し、新規事業につなげる仕組み)にあたる組織です。
「LANDCROS」の中央にある「O」は「Open(オープン)」の頭文字であり、お客さまやパートナーとOpenに新たな事業・価値を協創し、共に発展したいという想いを込めています。 「LANDCROS」は、同社が2027年4月に予定している新社名でもあり、この組織名は全社的なブランド刷新に先駆けたものです。この組織を率いるのが、新事業創生ユニット ビジネス開発室長の森脇 健一氏です。
森脇氏が新規事業の現場で譲らないのが、「スピード」へのこだわりです。
検討に時間をかけている間に、他社との連携が先に決まってしまうことは実際にあると言います。時間をかけることが成功確率を上げるわけではない——森脇氏はそう繰り返し語ります。
世界中の事業会社と競い合う中で、なぜここまでスピードを重視するのか。そして、社内のリソースだけでなく外部のプロフェッショナル人材を選んだのはなぜなのか。
本インタビューでは、ハイタレント経由でLANDCROS Innovation Studiosに参画する佐々木さんとともに、森脇氏にお話を伺いました。
この事例の要点
| 企業 | 建設機械メーカー。新事業創生ユニット内にCVC「LANDCROS Innovation Studios」を持つ |
| 課題 | 新規事業を進められる人材は社内にはなかなかいない。スピードを落とさず、案件ごとに異なる専門性を確保する必要があった |
| 活用方法 | 新規事業開発リード。社内をドライブする「切り込み隊長」 |
| 成果 | 指示を待たずに自ら顧客インタビューまで進め、納得感のある提案になった。事業部門の巻き込みにも大企業での経験が活きた |
HiTalentの支援テーマ例
経営層
経営課題整理/経営会議資料の構想・作成/経営に関する壁打ち
経営企画部門
中期経営計画策定/事業戦略策定/M&A戦略検討/海外進出支援
新規事業開発部門
事業機会探索/事業仮説検証・PoC支援/外部アライアンス検討
IT/DX・業務改革推進部門
IT/DX戦略策定/グランドデザイン策定/システム導入支援/BPR/コスト削減
研究開発(R&D)部門
R&D戦略策定/ロードマップ策定/技術テーマの事業化/オープンイノベーション
人事/組織開発部門
組織戦略策定/評価制度設計/採用戦略策定/研修コンテンツ作成
IR部門
IR戦略検討/統合報告書作成/財務情報開示/ESG・マテリアリティ分析
全部門に共通
AI・データ活用
担当するのは、戦略コンサル/IT・DXコンサル/ファイナンス人材/データ・AI人材のいずれかです。
この図は「HiTalent はどんなテーマで使えるのか」の見取り図として、全記事に同じものを掲載しています。ここに挙げたものがすべてではなく、ご相談内容に合わせて人材をアサインします。
日立建機のCVCが徹底する3つの違い
―社内にCVCのような仕組みを持つ企業は、他にもあると思います。一般的なCVCとの違いは、どのあたりにありますか。
森脇氏:大きく3つあると思っています。
1つ目は、グローバル視点を軸にしている点です。私たちの事業は売上の85%ほどが海外からのものであり、スタートアップとの連携も基本的にグローバルな視点で見ています。
2つ目はスピードです。KPIの1つにスピードそのものを掲げているほどで、常にそこに応えていく必要があります。チームには経験豊富なメンバーがそろっており、スピードで劣れば勝負にならないことを誰もが理解しています。
3つ目は事業化へのコミットです。CVCは投資によって財務リターンを得るところがゴールになりがちですが、事業会社が行うCVCの本来のゴールは、事業化そのものだと私は考えています。そのため私たちは、スタートアップを見つけて終わりにはしません。事業部と連携しながら、実際の事業化まで支援するところまでコミットしています。簡単なことではありませんが、そこだけは譲れません。

譲れない「スピード」へのこだわり
―KPIの中でスピードを重視されている理由を、もう少し詳しく教えてください。
森脇氏:世界中のスタートアップとの連携において私たちにとって最大の競合は世界中の事業会社です。ビジネスモデルが決め手になることもありますが、一番大きいのはスピードだと思っています。検討に半年ほど時間をかけている間に、他の会社と先に連携が決まってしまう、という話は実際にあります。
そこで大事にしているのが、意思決定速度です。
これは私自身の経験からも実感していることです。以前、新規事業を立ち上げた際、パートナーに選んだのはスピード優先で意思決定の速い会社でした。そういう会社と組むと、見積もりも契約交渉も、その後の事業連携モデルの検討も早く進みます。逆に「検討します」という会社だと、物事がなかなか前に進みません。
新規事業は不確実性の高い世界です。時間を長くかけたからといって、成功確率が上がるわけではありません。それよりも、検証して学習する速度をいかに上げていくかのほうが重要です。だからこそ、私たちのLANDCROS Innovation Studiosでも即断即決を徹底しています。半年という時間の中でも、市場やスタートアップを取り巻く状況は簡単に変わってしまうからです。
専門性の違う案件に、都度最適な人材を
―今回、弊社経由で佐々木さんをご活用いただくまでの経緯や、それまで感じられていた課題について教えてください。
森脇氏:きっかけは単純で、スピードです。
あるイベントで、ハイタレントの石本さんに偶然声をかけていただいたのが始まりでした。5分ほどの立ち話で課題をお伝えしたところ、「分かりました。うちならソリューションを提供できます」と即答があり、翌日には提案、その翌日には候補者が出てきました。速い会社だと感じ、そこから話がトントンと進みました。
ただ、決め手はスピードだけではありませんでした。
そもそも、私たちが手がける案件は、一つひとつ求められる専門性が異なります。その都度、専門の人材を採用していては、私たちは巨大な組織にならざるを得ません。新規事業を担う組織として、そうした大所帯を抱えるべきではないと私は考えています。求めていたのは、必要な時に、その案件に最適な人に対応してもらえるアーキテクチャでした。
ご紹介いただいた方々は、戦略コンサルティングの経験だけでなく、大企業での実務経験や新規事業の起業経験なども併せ持つ方ばかりでした。佐々木さんもその1人で、私たちが求めている人材像にちょうど重なりました。その意味で、ハイタレントさんがフィットしたのだと思っています。
ご支援中のHiTalent:佐々木 健介さん
アーサー・D・リトル(ADL)、ボストン コンサルティング グループ(BCG)にて、新規事業の立案・実行支援に従事。その後、リクルートで新規事業に携わり、ゼロからの事業立ち上げ・売上創出を経験。Fagriでは、ハードウェア・ソフトウェア両面でのものづくりに従事。
現在はハイタレント経由で、日立建機LANDCROS Innovation Studiosの新規事業開発を支援中。

「切り込み隊長」に期待する外部プロ人材の価値
―正社員のメンバーと、外部から参画する佐々木さんとの違いはどこにありますか。
森脇氏:日立建機の社員は、社内事情や会社の方向性に精通した、いわば日立建機のプロフェッショナルです。長期的な視点で会社の成長を考えられる人材だと思っています。
一方で佐々木さんのような外部のプロフェッショナル人材は、特定領域での経験と能力が明らかに豊富な方です。特に新規事業を進められる人は、社内にはなかなかいません。
だからこそ佐々木さんに期待しているのは、社内をドライブする切り込み隊長のような仕事です。
事業部門の巻き込みでいうと、大企業での経験がうまく活かされていると感じます。組織構造を理解したうえで、刺さる提案を作りに行けています。スタートアップの立場を理解した交渉スキルも、コンサル経験を活かしてうまく使ってくれています。
新規事業の提案で重要なのは、お客さまに本当に響くかどうかです。
佐々木さんは「先にお客さまインタビューをやりましょう」と提案してくれて、実際に自分で顧客インタビューを進めてくれました。そのため、納得感のある提案になります。それは私が指示したことではありません。指示を待たずに自ら考えて動いてくれる——外部のプロ人材に期待しているのは、まさにこうした仕事ぶりです。
―佐々木さんがこの案件に興味を持たれた理由を教えてください。
佐々木さん:興味を持った理由は、これまでの経験がそのまま活きると感じたからです。
ADL・BCGで培った深く考えてシンプルに表現する力、リクルートで叩き込まれた「結果が全て」という感覚を起点にした成果の出し方、Fagriで得たスタートアップ側の視点は、いずれも今の仕事の土台になっています。加えて、グローバルで事業を進められるという話も最初にあり、英語を使った事業推進は私にとって新しいチャレンジになると感じました。
―森脇氏から、事業部門を巻き込む場面で大企業での経験が活きているというお話がありました。佐々木さんは、事業部の方々と向き合うときに、どんなことを意識していますか。
佐々木さん:意識しているのは、事業部の方々に見えている課題を起点にすることです。
事業部の方々は、まず自分たちの事業を起点に課題を感じています。ですから提案も、まずその課題をきちんと解決したうえで、私たちの知見やスタートアップの技術を掛け合わせて、さらに成長できる——という順番で組み立てています。会社や部署によって背景の異なる相手に刺さる提案をつくるうえでは、コンサルティングの経験が支えになっています。

「意志」がなければ、新規事業はやり遂げられない
―新規事業を進めるうえで、どういった人材が必要になってくるとお考えですか。
森脇氏:新規事業を推進できる人は、自分の意志を持ってやり遂げられる人なのだと思います。
新規事業には正解がありません。単純にコンサル的なコメントをするだけでは、あまり意味がありません。自分の意志で動き切れることが大事で、付け加えるなら、不確実性を楽しめる人がいいのだと思います。ゴールさえ合っていれば、道筋はいろいろあっていいと思っています。
新規事業は、正直かなり効率の悪い仕事です。
無駄も多くあります。そのため、その無駄をいかに面白がれるかが勝負だと思っています。仮説を立てて、インタビューを通して検証して、お客さまに当てて、仲間を作って事業化し、時にはピボットします。
文字にすると当たり前のことですが、実際にやろうとするとものすごいエネルギーがかかります。お客さまを1人説得するだけでも、その人に合った提案の仕方や背景を調べ、刺さる言い方を考えなければ伝わりません。それをやり遂げるには、意志が必要です。
実は、このエネルギーのかかる営みを日常としてやり続けているのが、私たちが日々お付き合いしているスタートアップの経営者の方々です。そのため私たちは、スタートアップの方々には常にリスペクトを持って向き合っています。
―先ほど、仲間を作って事業化するというお話がありました。人を巻き込むうえで大切にされている考え方はありますか。
森脇氏:誰かを動かして仲間づくりをするというのは、突き詰めればギブファーストなのだと思っています。
中には、いろいろなところに行って情報だけテイクして帰ってきて満足している方もいますが、それでは仲間は作れないし、事業も生まれません。だからこそ、少なくとも私のチームのメンバーには、ギブファーストの精神でいこうねと伝えています。
実際、私たちのチームは、それぞれの分野で自立して活躍できる人たちを集めています。ギブできるものを自分の中に持っていなければ、そもそも他社と対峙することはできません。
オープンイノベーションの相手はお客さまではなくパートナーであり、相手もその道のプロフェッショナルです。そのため、きちんと対峙し、ともに新しい価値をつくっていける人を求めています。

―佐々木さんご自身は、実際に働く中でどんな工夫をされていますか。
佐々木さん:1つは、森脇さんが大事にされているスピードです。1速から5速まで意識的にかなり変えています。
5速のときは、暇があれば考えることに充てますし、子育て以外の時間を全て思考に使うこともあります。5分で身支度を整えて、打ち合わせに飛び入り参加することもあります。ずっと全力を出し続けることはできないので、そこは自分の中で使い分けています。
それから、誰が作っても同じになるような、いわゆる「普通」の資料は出さないようにしています。必ず、自分でも今まで作ったことがないものを出すよう心がけ、それが出るまで考え抜きます。運のいいことに、今のところは自分なりに新しいと思えるものを出せています。
苦手を乗り越えるという点では、英語もそうでした。
もともとは全くできず20年以上コンプレックスでしたが、意志があれば後天的に身につくものだと思っています。AIのおかげで学び直しもしやすくなりました。今では英語でのインタビューや資料作成など、実際の仕事で使えるようになってきました。
―森脇氏から見て、佐々木さんの動きで特に印象に残っている場面はありますか。
森脇氏:あるスタートアップのプロダクトを、佐々木さんが自分で交渉して使わせてもらい、それをもとに提案を作ってくれたことがありました。
普通はスタートアップの資料をベースに提案を作るところまでですが、佐々木さんは実際にそのサービスを使わせてほしいと交渉し、しばらく自分で使ってみたうえで、「このプロダクトを使うお客さまなら、日立建機と組めばこんなことができる」という提案を持ってきてくれました。あれはしびれましたね。
―外部人材だからこそ生きた、と感じる部分はありますか。
佐々木さん:言いたいことを言わせていただける環境は、本当にありがたいと思っています。外部の立場だからこそ、社内の力学から一歩離れて、率直に意見を出せます。そこは外部人材ならではの働き方だと思っています。

必要な時に必要な専門性を、スピーディーに
―ハイタレントを活用して、これまでで一番の成果はどんな点に出ていますか。
森脇氏:スタートアップとの連携案件を、きちんと回せるようになったことです。
連携案件数自体は増えてきていて、それ自体はいい話なのですが、メンバーやリソースには限界があるので、全部を回しきれない場面も出てきます。かといって、先ほどお話しした通り、専門性が異なる案件のたびに新たな人を採用していては、組織はどんどん膨らんでしまいます。
相手のスタートアップもスピードを持って取り組んでくれている以上、私たちも真摯に対峙したいと思っています。そこに佐々木さんのような方に入っていただいたことで、限られたリソースでも案件を回しきれるようになりました。これが一番の成果だと思います。
―今後ハイタレントに期待すること、そして外部プロ人材の活用を検討している他の経営者へのメッセージをお願いします。
森脇氏:私たちの新規事業軸は、今後もう少し多岐にわたっていくと思います。案件の種類が増えるほど、また相談させていただくことになると思います。プロジェクトが大きくなれば、1人ではなく2人、数人といったチームでの支援が必要になる場合もあるかもしれません。そういった人材ポートフォリオの提供に期待しています。
また、現在は事業化までの支援が中心ですが、事業化した後の支援をお願いする場面も出てくるかもしれません。
その段階では、必要なスキルセットが変わってきます。ゼロイチの戦略を考えるのが得意な方と、それをグロースさせる段階で必要な方は違うかもしれません。それでも、自分は何をしたいのかという意志さえあれば、対応いただけると思っています。
オープンイノベーションの場でいろいろな会社の方と話していても、新規事業をやっている人たちは社内で評価されにくいという課題をよく耳にします。
コア事業をやっている方に、分かりにくいことをどう伝えるか。それはやはり、結果を出すしかありません。早く結果を出さなければならないというのが、新規事業組織の宿命です。
だからこそ、社内のリソースだけでやり切るのではなく、必要な時に必要な専門性を取り込んで、スピーディーに挑戦することが求められます。多様な働き方が受け入れられている今、外部プロ人材の活用は有効な選択肢の1つになると思います。
―佐々木さんから、これから挑戦の場を探すフリーランスや外部プロ人材の方々へメッセージをお願いします。
佐々木さん:業務委託という働き方は、時間の使い方を自分で決め、やりたいことを選びながら、プロとして結果を出すことで成長できます。それが一番の魅力だと感じています。テーマを選ばせていただけることは、本当にありがたい機会です。時間の使い方も、何パーセントという形で契約できます。
ただし、それは時間さえ費やせばいいという意味ではありません。価値ベースで見られている以上、その時間に見合った価値を出さなければなりません。
価値が出ていなければ契約は続かない、というシビアな環境だからこそ、プロとして結果を出すという意識を常に持って働けます。ハイタレントには、挑戦しがいのある案件が多く揃っていると感じています。
これから挑戦の場を探すフリーランスや外部プロ人材の方々にも、ぜひそうした働き方を選んでほしいと思っています。
お時間をいただきありがとうございました!

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- ご要望を伺ってから、最短1週間でのアサインが可能です
- 期間は柔軟に対応でき、個人でもチームでも組めます
- 契約は「ハイタレント株式会社と企業様」「ハイタレント株式会社とコンサルタント」の2本を結びます

